【キャリア】マネジメント

【キャリア】マネジメント

ICTエンジニのキャリアを考え上で、マネジメントは一つの大きなポイントとなります。今でこそICTエンジニアが多様なキャリアを描ける時代になってきましたが、一昔前であればキャリアップを目指す上でマネジメントは必須であり、現在でもそのようなキャリアパスを持つ企業も残っています。

今回はエンジニア組織におけるマネジメントについて、何点かポイントを説明させていただきます。

マネジメントとは

英語のマネジメントを直訳すると「管理」となります。
一般的に仕事におけるマネジメントとは、組織を「管理」「運営」することとなります。
そしてマネジメントを行う人が「マネージャー」となりまして、日本の役職に合わせるなら「課長」となります。

最近では英語形式の役職を取り入れる日本企業も増えており、私が所属していた日本のメーカー企業でも、「マネージャー(課長相当)」「ディレクター(部長相当)」といった、役職名が使われていました。

マネジメントに関する記事や本は多くありますので、一度それらを読むことをお勧めします。
著者は初めてマネージャーに昇格したい際に、当時はやっていた「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの”マネジメント”を読んだら」という本を読みました。漫画形式で分かりやすく説明されているのでおすすめです。

マネージャーのミッションとは

マネージャーのミッションをざっくり言うと、「組織を管理、運営し、組織全体として成果を最大化すること」となります。
ここでポイントなのが、個人で成果を出すことではなく、組織全体として成果を出すことになります。

なので、いくら個人として優秀な人でも、適切に組織を管理、運営してないとマネージャーとしての成果を出すことはできません。

最近では、マネジメントの理解も進み、ミスマッチも減ってきましたが、以前はよく「優秀な社員がマネージャーになって実績が出せなくなった」なんて言う話もよく聞きました。

マネジメントを行う上での注意点

細かい話は本などを読んでもらえればと思いますが、ここではマネジメントを行う上で重要となるポイントを数点だけ説明させていただきます。

自身で成果を出す必要はない

ミッションで説明しましたが、マネージャーは組織の成果を最大化することがミッションとなります。極端な話、組織のメンバーがそれぞれ成果を出せていれば、マネージャー自身は成果を出す必要はありません。メンバーの出した成果がそのまま自身の成果になるからです

マネージャーになりたてな方がよく陥るのが、自身で成果を出そうと頑張ってしまうことです。マネージャーになりたての時期は、マネージャーとして成果を出すことに焦ったり、メンバーに認められるよう背中を見せたくなりがちだからです。

私がマネージャーになりたての頃に受けた教育で、印象的な教訓がありました。「メンバーと張り合うな」です。あくまでマネージャーの業務は組織全体の成果を最大化することで、メンバーとは役割も違います。もし優秀なメンバーがいて、自身の立場を脅かされると不安を持つことがあっても、そのメンバーがしっかり成果を出せているのであれば、それは自身の成果と見方を変え、しっかりサポートしてあげましょう。

いくら優秀な方でも個人で出せる成果に限界はありますし、組織が大きくなればなるほどそれは顕著になります。自身が直接業務を頑張るよりも、組織のメンバーそれぞれの成果が最大化できるよう、マネジメントに専念した方が圧倒的に効率的なのです。

マネジメントはただの役割

一昔前では、マネージャーは優秀で偉い人という考え方が一般的でしたが、近年は考え方が変わってきています。マネジメントはただの役割であるということです。

メンバーの中で必ずしも優秀な人がなるわけではなく、マネジメントが上手な人がマネージャーになるという考え方です。今時の会社のキャリアプランでも、例えば技術力が高い人は「スペシャリスト」、PJ内での調整や推進が得意な人は「インディビジュアルコントリビューター」など、それぞれの特性によって、マネジメントと同待遇の上級職ポジションを用意するのが一般的になってきています。

ICTエンジアの方が出世したいと考えた場合、必ずしもマネージャーを目指す必要はありません。自身のキャリアを考えた中で、マネジメントを行いたいと考える方が、マネジメントをスキルを取得し目指すポジションとなります。

著者もメガベンチャーにいた際に一つのチームをマネジメントしていましたが、そのチームの中には技術志向で私より遥かに技術力が高く、年収の高いメンバーもいました。その方の技術力はしっかりと認めつつ、自身はメンバーのアサインや人材育成などに組織の課題を解決することに専念しました。
当時1on1が流行り始めた時代、自身としてもコーチングに興味を持っており、そのメンバーの方とも1on1を実施しコーチングによる人材育成を行い、良好な関係を築いておりました。

人材育成もミッション

マネジメントのミッションは組織の成果を最大化することと説明しましたが、それは何も今だけのことではありません。将来の成果を最大化することも大事なミッションとなります。

将来の成果を最大化するために重要なのが、人材育成となります。

これがマネジメントを行う上で一番難しいポイントですが、マネージャーは直近の成果を出しつつも、将来を見据えてバランスよく人材育成を行う必要があります。人材育成を行う上で需要となってくるのが、アサインです。
PJへのアサインもマネージャーの業務の一つになりますが、適材適所で最適なアサインをするだけではなく、若手のメンバーに経験を積ませたり、メンバーの苦手分野を克服するためにあえて苦手なポジションにアサインするなど、進捗に影響が出ない範囲でアサインを工夫する必要があります。

私がマネジメントを行う上でもこの点は特に重要視しています。私の場合、月に一回配下のリーダー格を集めたMTGを行なっており、その場で各メンバーのキャリア志向、育成ポイント、各PJの進捗課題を確認し、アサインを調整しています。

マネージャーに適正の人材

以上の注意点を踏まえて、マネージャーに適正な人材について説明したいと思います。これは実際に私がマネジメントを目指すメンバーに話しをしたり、リーダーに採用する際の判断軸にも使っております。

マネージャーに適正な人材とは、視野が広く組織全体の課題を解決できる人材です。

実際に私が直近リーダーに登用した人物を例に出すと、その方は突出して技術力が高いわけでもなく、PJの推進力が高い訳ではありませんでした。しかしながら、常にグループ全体に気を配ってくれており、他のPJで課題があったりすると、課題提起や時には課題解決のために自身がサポートに入る旨申し出てくれたりしました。
また、難易度の高いタスクなどが発生した場合、アサインに困っていると自ら他にやる人がいないならやりますと申し出てくれるような方で、やりたいことよりもやるべきことを優先してくれる方でした。

その方には自然とグループ内の課題やアサインについて相談する機会が多くなってきており、最終的には自然とリーダーに登用する形なり、他のメンバーからもしっかりと受けれいられていました。