【キャリア】エンジニアのポジション

【キャリア】エンジニアのポジション

近年、企業における職務等級制度は大きく変化してきています。一昔前は、出世するためには、リーダー(係長級)→マネージャー(課長級)とマネジメントに進むのが一般的でしたが、最近ではマネジメントだけでなく専門性を高めた専門家としてのポジションを用意する企業が増えてきております。

著者が務めていた、直近3社でも呼び方は多少違えど、似たような職務等級制度が設けられていました。
簡単にはなりますが、一般的な職務等級制度の例を以下の図で説明します。

一般的な職務等級制度

上記図では、縦軸では報酬水準や担う業務の難易度を表しており、上に向かうほど高収入、高難易度となります。横軸では役割を表しており、同水準での横へ異動もフレキシブルに行われるのが一般的です。また、青い部分は役職を表していますが、役職手当がついたり、賞与時の係数が変わったりと、区別されることがあります。

各層について

縦軸では給与水準や難度を表しております。大きく3層に別れているのが一般的で、一般的な大企業では以下のような目安になります。

各層の年齢目安
20代:スタッフ層
30代:プロフェッショナル層
40代:管理職層

より実力主義の強いメガベンチャーでは20代での管理職等用も増えてきていたり、逆に年配の方でもスタッフ層のままということもあったりと、今後はより格差広がっていくことが想定されます。

また、上の層に上がるためには壁があるのが一般的で、日本的な企業であれば「昇格試験」、「役職への登用」、「通常の評価による昇格」などが挙げられます。
各層で報酬水準が大きく変わるも一般的であり、同期と差がつきやすい部分となります。

かつては一度上の層に上がれば、下の層への降格はないのが一般的でしたが、近年実力主義を取り入れる企業が増えており、制度として降格を取り入れる企業が増え始めています。
著者の務めていた企業でも降格は制度としてありましたが、実際に降格した事例はごく稀でした。恐らく段階的に加速していくと思われます。

マネジメント層

マネジメント層についての説明ですが、マネジメントに関する詳細は”【キャリア】マネジメント”で説明しているのでご一読ください。

マネジメントの役割としては「組織を管理、運営する」こととなります。業務としては、課長を想像してもらえればわかりやすいと思いますが、メンバーの育成、評価、プロジェクトアサイン、予算管理など、組織管理業務を中心に担います。

近年特に人材不足などの背景もあり、人材育成に力を入れている企業が増えてきています。1on1による育成、育成を見据えたアサイン、評価におけるフィードバックなど、マネジメントに必要なスキルを習得していると、転職でも有利になります。

スペシャリスト層

スペシャリストについては、エンジニアであれば想像しやすいと思います。特定技術や開発手法などの専門家が該当します。

スペシャリストの役割については、大雑把には技術での支援となります。必ずしも自身が設計、開発に携わるだけというのではなく、高難易度のプロジェクトに横断的にアドバイザーとして入ったり、組織や会社全体の技術戦略を担ったりと、一エンジニアとしてではなくより大きな貢献が求められるのが特徴です。

一般的には、社内や業界内でのトップクラスの知識、技術を持っていることと定義されていることが多く、著者の過去の会社では、技術本を執筆したり、技術イベントで登壇するようなレベルの方が就任しておりました。

ここ数年で流行り始めたポジションでまだ企業によっては浸透していないのと、特にICTは技術の変化が非常に早い業界で技術の学習コストが非常に高いことから、著者の肌感にはなりますがマネジメントに比べてかなり難易度は高いと感じております。特に、最近ポジションを取り入れた企業では、実質マネジメントになれなかったり、ポジションから外された人の受け皿として機能している例も多く見受けられました。

ここでスペシャリストを目指す上で、一点だけ注意点をあげたいと思います。
自分の興味に固執しないということです。スペシャリストといえどあくまで会社員ですから、身につけた技術は会社の収益に貢献するために活用する義務があります。会社やプロジェクトの方針を無視して自身の興味ある技術に固執したり、理想の設計を追い求めてしまったりと、PMやマネジメントの要求を無視し続けて、徐々に窓際に追いやられ最後は降格するといったスペシャリストを過去に見てきました。
技術は自分のためでなく、会社の収益に貢献するために活用するのが役割だということを忘れないようにしましょう。

インディビジュアルコントリビュータ(IC)

最後はICの説明となります。このポジションが一般的には一番馴染みがないかと思います。

企業によっても多少役割は変わりますが、部下を持たない管理職を表し「プロダクトマネージャー」や「プロジェクトマネージャー」といった役割が一番フィットすると感じます。

プロダクト改修やプロジェクト推進を行う上で、ステークスホルダーとの調整やプロジェクトマネジメントを行うのが役割で、人材の育成、評価は直接担わないものの、マネジメントスキルは求められるのが一般的です。

マネージャーとの役割をわかりやすく説明するなら、以下のようになります。

マネージャーとICの役割
マネージャーの役割:メンバーの人材育成に責任を持つ。
ICの役割:プロダクトのKPIやプロジェクトのQCDに責任を持つ。

もちろん厳密に分離できない部分もあるので、多少重複する部分はありますが、大枠のイメージとして理解いただければと思います。

著者が過去に勤めていたメガベンチャーでは、ICとマネージャーの役割がしっかりと分けれており、しっかりと機能(しすぎるくらいに)しておりました。
わかりやすい事例を説明すると、ICはプロダクトのメンバーの働きが悪くプロジェクトのQCDがよくない場合に、メンバーについてマネージャーに相談したり(ときに責めたり)、逆にマネージャーはメンバーの成長につながらないプロジェクト内でのアサインがあった場合にICにアサインの変更を相談したり(ときに責めたり)としていました。
著者は両ポジションを兼務していたことがありますが、その時は週一でIC×マネジャーで定例を持っており、毎週バチバチと盛り上がっていました。