【転職】エンジニアが非ICT企業に入社したら

【転職】エンジニアが非ICT企業に入社したら

近年のDXが流行っており、非ICT企業におけるICT人材の採用が非常に増えております。企業については”【キャリア】ICTエンジニアが働く業界“でも説明しておりますので、よければご一読ください。

ICT企業と非ICT企業では、事業の違い、文化やルールの違い、社員の違いなど、非常に多くのギャップがあります。ある程度、覚悟を決めて転職することになると思いますが、ギャップにつまづいてしまうと、せっかくDXを推進できるエンジニアとして期待して入社したのに、会社に貢献できずにお荷物になってしまいます。

私も過去に2社ほど非ICT企業に転職しており、その際に多くのギャップに苦しめられました。過去の経験から、非IC T企業に転職する上で特に気をつける点、心構えなどについて、説明したいと思います。

自己紹介

転職してまずやらなければいけないのが、自己紹介です。自己紹介は多くの既存社員に対して、初の接触となりますので、ファーストインプレッションをよくするために非常に重要となります。

自己紹介にて、気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。

自己紹介で気をつけるべき点
・ポジティブな入社理由を話す。
・自身のキャリアについて、謙虚かつはっきりと説明する。
・会社や社員のために、貢献したい旨を説明する。

ポジティブな入社理由を話す

転職理由には年収ややりがいなど様々ですが、その会社に入社した以上、その会社にてやりたいことや実現したいことなど、ポジティブな理由があると思います。

その会社の事業やその事業を支えいる社員に対してしっかりとリスペクトを示しつつ、ポジティブな入社理由を自己紹介の中でしっかりと話をしましょう。

例えばわかりやすい事例としては、医療業界などに転職した場合です。会社の事業が人々の健康に貢献していることは非常にわかりやすくリスペクトできる内容ですし、自身が間接的でも人々の健康に貢献したいという説明はわかりやすいと思います。

その会社の事業にリスペクトとやりがいを感じていることを話すことで、既存社員からも共感を感じてもらえると思います。

自身のキャリアについて、謙虚かつはっきりと説明する

非ICT系の企業で特にICTに関する知見のない部門だと、ICT系の人材に対して畏れをいだかれることが多くあります。畏れを持たれないように、謙虚に話をしつつ、自身の経験についてははっきりと説明することが重要です。

例えば楽天やヤフーといった誰もが知っている大企業出身だったとしても、知っているというのが当たり前という話し方ではなく、「楽天という会社で〇〇といったサービスに携わっておりました」いった形で、丁寧に説明しましょう。ちょっとした言葉尻の違いですが、与える印象は大きく違ってきます。

とは言いつつも、既存の社員の皆様に自身が何ができるのか知ってもらうことは今後業務を進める上で非常に重要です。自身の積んできた経験についてははっきりとファクトベースで説明をするのが良いでしょう。例えば「デイリーで100万人以上が利用するサービスの24365運用と開発に携わっておりました」といった形で数値があれば数値とともに説明するのが良いでしょう。

会社や社員のために、貢献したい旨を説明する

これはどの様な会社でも共通ですが、入社直後は会社のルールや事業内容などがわからない状態のため、戦力にならないのが一般的です。素直に認め、早くキャッチアップして、会社や職場の人たちのために貢献したい旨は伝えておきましょう。

ICTは主役じゃない

非ICT系の企業に入社して、まず理解しなければいけないのは、会社にとってICTは非常に重要な要素であるものの、ICTは事業の主役ではないということです。

もちろん企業としては、ICTでDXを推移して欲しいという大きな期待のもと、あなたを採用したのだと思います。しかしながら、現状会社を支えているのは既存の事業であり、DX推進がなされた後もICTが事業の柱になるというケースは少なく、あくまで既存事業の拡大を支援するというのが一般的です

また、DXとはいってもいきなり会社の収益に貢献するのは難しく、少なくとも数年間は会社のコストセンターとして金食い虫となるのが一般的です。要は会社の事業を支えている既存社員の皆様に、給料を稼いてもらっているという形になります。

あくまでICTは既存事業の拡大のための脇役、当面は既存の事業のおかげで自身の給料が支払われているといった事実をしっかりと認識し、既存社員の皆様にはリスペクトを持って接することが重要です。

無駄は多いもの

Sierやメガベンチャーであれば、社員全体のITリテラシーは高く、会社の日常業務もICTで最適化されていると思います。具体的には日々の勤怠管理、経費精算、タスク管理などです。

しかしながら、非ICT企業ではITリテラシーが低い社員が多い上、変化にネガティブなケースが多いため、昔ながらの古いシステムを使っていたり、いまだに紙の書類を扱っていたりということが多々あります。

私が過去に転職した会社も、メールや勤怠、社内申請にNotesを使っており、非常にがっかりしたことがありました。

非ICT企業に転職する以上、こういったことは覚悟しておくことと、むしろ自身がICTによる効率化を推進するんだくらいの気概で挑むことが重要です

ICTに最適化されていない

開発のプロセスであったり、新しいサービスの利用フローなど、会社独自のルールは非常に多くあります。非ICT系企業に入社する上で気をつけなければ、そのようなルールやプロセスがICTに最適化されていないということです。

わかりやすい例で言うと開発プロセスです。非ICT系企業でハードウェアの開発を行なっている場合は特に注意が必要でして、開発プロセスがハードウェアに最適化されている場合がよくあります。

私が過去に転職した会社でも、開発プロセスがハードウェア寄りになっていて、プロセスの中に製造工程(量産化が必要なため)だったり工場などが出てきて、最初は何のことだかさっぱりわかりませんでした。

その様な会社の場合、ICT人材に開発プロセスの最適化を期待することもよくあります。プロセスが無駄だと愚痴を吐くよりも、ICTの開発に最適化するにはどうすれば良いか、前向きに行動することが非常に重要です。

スピードが遅い

先のICTに最適化されていないにも絡むことですが、非ICT系企業では非常にスピード感が遅いことが一般的です。特にハードウェアの開発を行なっている企業の場合が顕著です。ハードウェアの開発には設計だけではなく製造も絡んでくるためどうしても掛かる工数が総合的に大きくなります。また、致命的な不具合が出た場合に、最悪はリコールとなってしまい、そのインパクトはICTサービスの比ではないため、品質やリリース判断にはより慎重になります。

以上のことから、会社全体としてスケジュールやスピードの感触が圧倒的に遅くなってしまいます。まずは、スピードが遅いという文化を理解しておくとともに、出来るだけ既存の組織やルールから切り離して、ICTサービスの開発のスピードを上げていくことが、非常に重要となります。そのためには、組織幹部の協力を得て、トップダウンでモノを進めるのも一つのやり方です。

また、それでも既存のハードウェアと連携する場合には、ハードウェア側のスピード感に引きずられてしまうのは致し方ありません。そういうものだと理解して、我慢することも重要となります。

まとめ

ICT企業からひICT企業に転職した場合、事業の違い、ルールや文化の違い、既存社員との付き合い方など、多くのギャップと気をつける点があります。

ギャップを乗り越えて、会社の事業に貢献するために、こういったギャップを事前に把握した上で、覚悟を決めて挑むことが重要となります。